瓦に関すること − 古い建物の瓦葺替え工事から(1)

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     大地震に見舞われると、毎回瓦屋根に被害がでています。

    今回の東北関東地震でも瓦屋根は大きな影響を受けました。その多くが瓦のズレや落下で、瓦の重さに耐え切れず建物が損傷した例も多く見られます。大地震が来る度に瓦への信頼も揺らいでしまいますが、
    一体どこに問題があるのでしょうか。


    瓦葺き建物被害の例(建築知識1995臨時増刊より)


    そのあたりを整理してみると,以下の点が考えられます。
     


     1.他の屋根材に比べ重量があり、そのぶん建物の負担になる。

     
     2.年月が経つとズレなど劣化が生じる。

     
     3.それなりの工事費用がかかる。

     
     このほかに、

     4.意匠が古風で重々しく、モダンなデザインにはならない。


    まず1
    .と2.は瓦の宿命といえるでしょう。瓦を葺くには葺土を必要とします。その粘着力によって瓦を屋根に密着させています。そのため、たとえば金属板やスレートなどに比べると当然重量が増し、土が劣化してくると付着力が落ちてずれてくることになります。

     

    3.も瓦工事の宿命です。そもそも瓦自体が鉄板などよりも高価な上に、葺き土を載せながら一枚ずつ丁寧に施工していくので費用がかかってきます。

    4.雨の多い日本では、建物の屋根勾配を高くして庇を張出した形になりました。また、おおらかな屋根は日本建築には欠かせないもので、瓦屋根の美しさが建物全体の印象を決定してしまいます。

      
    大きな瓦屋根は日本建築美の大きな要素
    唐招提寺 金堂・奈良時代      東大寺 法華堂・奈良、鎌倉時代


    逆に現代の建築では屋根をあまり見せずに軽快にすることが好まれています。このように瓦は、洋風瓦を使ったとしても、モダンなスタイルにはなかなかなり得ません。



     では、屋根を瓦にする利点は何でしょうか。


    上に列記した事項を逆に考えて見ます。


     1.建物に一定の重量を与え安定させることが出来る。


     2.防火性がある。


     3.遮音性、断熱性がある。


     4.建物に伝統的な安定感を与え、高級感に富む。

     

    1.庇を張出した日本建築では、大風に飛ばされないように屋根に重さが必要となります。そこで重い瓦を載せることで台風にも耐えることができ、且つ全体に与える瓦の重量が建物を大地にしっかりと根付かせることも出来ます。

     

    .. 瓦は燃えることはありません。屋根面の耐火には適した材料で、城郭や蔵などに昔から使われていました。


    姫路城・江戸時代初期


    川越の蔵造り 亀屋・明治時代


    また、下地に土を使うこともあって断熱性にも優れ、雨音が室内にもれることもありません。但し雪の降り積もるような地域では凍て付いて損傷することもあり、建物には瓦と雪の重量も加わるのであまり向いていません。

     

    4.瓦葺きの伝統的な建物は、オーソドックスではありますが、やはり人々に好まれています。そして鉄板葺きの屋根よりも間違いなく高級感があります。逆に金属板は瓦に比べ断熱性が低く、風にも弱い材料です。

    瓦には数種の形態があり、たとえば重量感に富む本瓦葺きから、京都の町屋に使われる一文字瓦のような軽快な物もあります。


    重厚な本瓦葺き:寺院などに使われる


    軽快な一文字瓦葺き:京都の町屋などによく使われる
     


    以上のように瓦は素材としても意匠性でもいまだ捨てがたい材料です。新築や改装に際しても全体のデザインを勘案した上、瓦葺きの欠点を補いながら使用すると建物に安定感を与えることが可能となります。




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