木造住宅の耐震補強 Ver2(1)

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    今回、ある木造住宅の改修工事を機に耐震補強工事もおこないました。

    そこで、この耐震工事について順をおって紹介します。



    まずはその住宅の概要。

    木造2階建て。竣工は1978年で築34年になります。
    外部はモルタル塗り吹付塗装仕上げ、屋根は窯業系スレート葺き(いわゆるコロニアル葺)の住宅です。


    ということで、そのプランを見てみます。

     
    1階平面図 南に個室を配し北側に水まわり関係室がある


    2階平面図 南に居間、一段上がって和室、北西にダイニングキッチン

    平面計画は一般的な木造住宅に見られるように、3尺ピッチのグリットの上に柱が建って計画されています。
    多少変わっているところは1階がプライベートスペース:個室があり、2階に食堂、居間といったパブリックスペースがあるところでしょうか。

    全体を眺めてみて気付くところは2階が広々としているのですが、その分壁が少ないということです。
    これがもし1階でこのようなプランであれば大地震でもたないと思いますが、2階は屋根が載っているだけなので、このぐらいオープンでも小地震には耐えたものと思われます。


    もう少し詳細に平面を見ていきます。


    1階は個室があるので壁も相応に入っていますが、問題点が2箇所あります。

    まず、東南角の出窓。
     

    建物角面を出窓などの開口とすると明るく軽快な印象になるのですが、その分耐震上重要な建物角に壁:耐震壁がとれないので角の柱一本のみに負担がかかってくることになります。
    今回の場合では窓の幅が東西、南北共に1間(約1.8m)もあり、2階も同位置に出窓があるため、上下でこの部分が弱点であることは明らかです。(構造的弱点1)

    もう一箇所は西側の張出した部分。


    これはその隣の壁のラインが建物屋根までの壁面(外壁)で、そこからずらして飛び出しているのですが、結局重要な外壁面が大きく口をあけた形となっています(そこに耐震壁が存在しない状態)。
    1本だけ柱が建っていますが、地震時には当然大きく負荷がかかり、破断すると西側外壁面が崩壊する恐れがあります。(弱点2)


    次にもう少し詳細に問題点を見ていくことにします。

    そのためには上下のプランを重ねてみて検討していきます。

    すると上下で壁の位置がずれている部分が明確になります。

    もちろん上下階で柱や壁がずれていることはプラン上おこることなのですが、そのズレによる荷重が1階の柱や梁のどこかに載り、そのまま合理的に基礎:地盤まで伝わっていればそれほど問題はありません。
    良くないのは2階の壁や柱のズレが1階の梁や桁などの横材に載っただけのもので、その荷重が横材の強度にのみに依存し、大きな負担を生じている場合です。


    この建物を例にとって考えて見ます。


    まず南側。
    日本の住居では南側に大きな開口をとり日光や通風を確保して、縁側(下屋とも言う)を張出した形にすることがよくあります。

    今回の住宅でも断面を見ると、南側に下屋を半間出し、開口を設けているのがわかります。


    そうすると2階の外壁面(及び上部の屋根)を支えているのは下のラインの4本の柱と部屋壁上の梁、東端半間の壁だけということになります。


    また、このラインには基礎も入っていないことが事前の調査で判明しました。
    従って、2階南の外壁及び上部の屋根荷重は、ほとんどがその下の桁に負担をかけていて、それを数本の柱と真ん中の梁だけで支持している状態となっています。(弱点3)

    また、2階には床の段差があり、その段差の部分には梁が入っているのですが、その段差を支える梁を支持する柱が1階にはありません。
     

    上記の下屋の桁と廊下の梁に載っている状況です。(弱点4)


    次に北側をみます。
    このあたりのプランはまとまりがなく、行き当たりばったりであることは図面からも見て取れるのですが(要するにヘタなのです)、こういうのは構造的にも問題がある場合が多いものです。

    で、よく見ていくと、北西部分の2階は1階より2尺ほどとび出しています。
     

    この部分、出窓まであるためそれなりの荷重がかかっていますが、西端では下階で支持する柱がなく、東は一部が1階の梁に載せてあるだけで、如何にもバランスが悪く、不安定な造りです。(弱点5)



    以上がこの建物の構造的問題点:弱点で、これを修正するのが急務となります。

    これとは別に、実際の工事において既存の壁にスジカイが入れられているかなどの状況もチェックしていきます。



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